女性たちはサダム支配下でのほうが尊重されていたと、女性団体はいう
米軍占領下イラクの「新政権」のもとで女性たちが置かれた状況。国連IRIN報告により、女性団体の調査報告の紹介。
女性たちはサダム支配下でのほうが尊重されていたと、女性団体はいう
2006年4月13日
IRIN
Electronic Iraq 原文
(IRIN)
バグダード発。地元の人権NGOが最近調べたところによると、女性への態度はサダム・フセイン時代のほうが現在よりも良好であり、女性の権利は今よりも尊重されていたという。
「私たちは、調査のために、この国の女性たちとインタビューし、ジェンダー問題を扱う地元NGOと面会しました。それを通して、女性の生活のクォリティと女性の権利尊重について尋ねたのです」と、バグダードを拠点とするNGO女性自由組織のセナル・ムハンマドは語る。「その結果、女性たちは、前政権時代と比べて現在のほうが尊重されておらず、女性の権利が奪われていることが示されました」。
この調査によると、フセイン政権時代、女性の基本的権利は憲法で保証されており、さらに重要なことに、尊重されてもいた。そして、女性が政府の要職にいることもよくあった。現在は、女性の権利は憲法に記されてはいるものの、活動家たちは、実際には、ほとんどすべて女性の権利は失われたと批判する。
女性団体は、その理由として、新政府の多くのメンバーが女性の役割について保守的な立場をとっていることをあげる。「女性の代表がもっと議会に必要だと政府に伝えると、政府は、十分な資格のある女性がいつか現れるならばそれを拒絶しはしないというふうに答えるのです」とセナルは言う。「それから、私たちに嘲笑を浴びせます」。
政府関係者たちはこれに同意せず、女性の政治的見解は尊重されており、前政権時代よりも現在のほうが女性たちはよりよく代表されていると語る。
一方、女性活動家たちは、この調査の結果に同意している。
「2003年、米国率いる侵略の前、女性は自由に学校、大学、職場に行って、仕事をすることができました」とセナルは続ける。「今では、安全上の問題と政府の弾圧のために、女性たちは家にいることを余儀なくされています」。
2005年10月に承認された新憲法では、シャーリ[イスラム法]が国内法の基本的なもととなっている。けれども、セナルによると、政府内の人々と一部の宗教指導者たちがシャーリを変な風に解釈し、その結果、女性の権利がしょっちゅう否定されることとなっている。このことは、とりわけ離婚問題についてあてはまると彼女は言う。
この調査実施を手伝った別のNGO(ただし安全上の問題から匿名を希望した)の報道官イマン・サイードは、宗教指導者の中には、女性はベールをかぶるべきだと主張し始めた者もいると語る。「たくさんの夫たちが、今や妻にベールを強制しています。シャイフ[教主]がそう言うからというだけでです」とイマンは言う。
宗教指導者の中には、ベール着用はムスリム女性の義務であり、セクト的暴力があるから女性は家にいて子どもたちの世話をすべきだとと言う者もいる。
「女性たちは家にいて家族とともにいなくてはならない。政治への参加は子どもから女性たちを遠ざけてしまう」と、バグダードのあるモスクの宗教指導者であるシャイフ・マルーフ・アブデル・カデルは言う。
女性たちは人口の約60%を占める。しかしながら、議会で25%の議席を女性が占めてはいる者の、彼女たちが政府要職につくことはほとんどなく、政治的議論への女性の参加がまじめに取られることもあまりない。「米軍がイラクに来たとき、女性の声が聞かれるようになる点では大きなチャンスだと思いました」とセナルは言う。「けれども、それは間違っていました。逆だったのです。そして、日一日と、私たちは足場を失っています」。
調査はまた、2003年以来、イラク人女性の中で失業率が上昇していることも明示している。「女性の失業率は、今や、男性失業者の二倍にのぼります。また、女性の貧困も増加しました」とイマンは言う。「さらに、寡婦の数は----すでに[1980年代の]イラン=イラク戦争のために高かったのですが----、米軍の侵略以来、さらに増加し、状況はいっそう悪化しました」。
調査を行った人々は、米国政府および国際組織に、イラク政府に対して女性をもっと意志決定の地位につけるよう圧力をかけることを求めた。「現在の指導者たちは、私たち女性が大統領や副大統領になりうるなどと考えていません。女性はそうした要職にはつけないと行っているのです」と、この調査を助けたバグダード大学のシャムス・イェヒア教授は言う。「私たちは、すべての団体に、イラク政府に私たちの権利を返すことを求めるよう要求します」。
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投稿者:益岡