イラクの石油をめぐるゲリラ戦
石油の略奪。それに対するレジスタンスの、パイプラインや石油施設への破壊活動。
イラクの石油をめぐるゲリラ戦
マイク・ホイットニー
2006年1月4日
ZNet 原文
「イラクを解放し、侵略者を妥当する武装レジスタンス計画の中で、イラクの石油は・・・・・・合法的かつ恒久的な標的となるだろう・・・・・・
武装レジスタンスは、侵略者がイラクの石油を盗むことを阻止し、歳入を国家的・国際的レベルでいかなる状況であれ誰が使うことも阻止するために、軍事的および技術的に可能なあらゆる手段を用いる・・・・・・
これにのっとり、占領者に協力するもの----雇われた者たち、商人、仲介者----は、それがイラク人であれアラブ人であれ非アラブ人であれ、監視し、躊躇なく標的とする」
バース・アラブ社会党コミュニケ
2004年5月13日 イラク
イラクで起きている戦争は、現在の占領の帰結、そして今後の紛争のかたちを左右するだろう。それは、イラク石油の支配をめぐる戦争である。
現在、アメリカは、あぜんとするようなかたちで、この紛争に敗北しつつあり、近い将来その状況がかわる希望はほとんどない。今週、イラク石油省は、石油生産が「戦後最低になり」、「2003年の戦争が終わって以来1日平均約160万バレルだった原油の輸出が、11月に120万バレル/日へ、12月には110万バレルへと落ち込んだ」と発表した(アルジャジーラ)。あらゆることが、暴力の激化により生産を続けるのが困難であることを示している。
しばしば、南部と北部の両地域で石油輸出が完全に遮断されるため、イラクにある桁外れの天然資源から利益を得ることが不可能になっている。パイプラインや施設を攻撃から守ろうと巨大な努力がつぎ込まれているにもかかわらず、イラクのレジスタンスは、パイプラインや施設の破壊技術にますます磨きをかけている。
21世紀の戦争のまさに顔がここにある。武装ゲリラの様々に異なる分子が、世界経済を支える決定的に重要なエネルギーの供給を妨害している。
現在のところ、体制メディアが作り上げたプロパガンダの煙幕により、この資源戦争は隠蔽されている。体制メディアの仕事は、この紛争を対テロ戦争として描き、報道をファナティックなジハードによる脈絡のない暴力事件に限定することにある。イラクを包囲し、世界経済を下降させるおそれのあるゲリラ戦争についてこうしたメディアが報じることはまれである。
ゲリラの小部隊が石油生産の阻害にエネルギーをつぎ込むならば、ブッシュ政権が、イラクの石油を支配するというもともとの意図を達成する可能性はまるでない。断固たる決意をもった戦士が一人、爆弾かカラシニコフを手にすれば、一瞬にして、何百万ドルにも相当するインフラを破壊することができる。
武装レジスタンスの成功は、石油輸出の減少によって数量化することができる。1990年、サダムは一日350万バレルを輸出していた。1990年代を通して、経済制裁と投資不足により、輸出量は漸減した。2003年の侵略以来、石油部門の生産性は急降下したが、その原因は直接、パイプラインの爆破にある。生産は今やかつてないほど低く、侵略直前の半分以下となっている。油田の開発と石油の輸送は、予期せぬ暴力の突発により無理であることが明らかになってきている。
石油生産:「後退」
「イラクのインフラの状態は、一般に、前進しているのではなく後退しているように思われる」。先月発表された報告書の中で、ロンドンに本社を置くバークレーズ・キャピタルはこう述べている(AP通信ジム・クレーン)。
イラクは潤沢な石油収入により自らの再建費用を捻出できるだろうという、ポール・ウォルフォウィッツやディック・チェイニーがしていたような楽観的な予測は消え失せた。そのかわりに我々が目にしているのは、イラク全土で広がる新たなタイプの戦争が口を開き、黒煙の中で決定的に重要な資源を飲み込んでしまうような状況である。
諸施設に対する攻撃から、海外の投資家は、長期的投資や開発への投資を控えている。主立ったプレイヤーの多くは、近い将来に米軍が率いる占領が、状況を安定化させることに懐疑的である。産業アナリストたちは、2006年にも治安状況全体にほとんど変化はないだろうと予想している。
さらに、IMFは、石油省に、多くの補助金を受けているイラク国内の石油供給に対する価格補助を取り去るよう要求した。これは、占領の継続に対する人々の怒りを増大させるだけである。12月、イラクに対する6億8500万ドルの貸付を承認したが、その際、イラクが構造調整プログラムに従うという、予想通りの「病気のような」条件をつけた。実質的に、これらの条件は、イラクの資源を多国籍企業の直接的な支配下に置くものであり、多国籍企業はそれらの資源をどのような条件で売るか決めることができるようになる。
占領に対する反対が強まり、イラク人レジスタンスがますます熟練することで、長引き、高くつく紛争の土台ができている。イラクは、新世紀最初の、非対称戦争の明確な事例である。ゲリラの小グループが重要なエネルギー供給を標的として混乱を引き起こし、産業の力を失わせる。
アメリカが、ますますやせ細っていく世界の炭化水素資源の掌握を強め続ける中、イラク人レジスタンスの成功は、直接の戦争で合州国を打ち負かす可能性のない様々なグループが、戦争費用を維持不能なまでに高めることで帝国に膝をつかせようとするための、モデルとなるだろう。
石油の略奪。5000年にわたり伝えられてきた地元の種子の使用を禁止し、遺伝子組み替え種子の使用を強制することによる、農業の略奪と破壊。直接の殺人に加えて、占領者がやっていることです。
投稿者:益岡